すべてを忘れて愛に生きようとする男たちも、
いつしか年齢を重ねていく…
そこは、枯野の単独行のような淋しさの世界、
そして滑稽としか言いようのない耽美の園。
『三島由紀夫-剣と寒紅』の著者・福島次郎がおくる、
哀しくも愛すべき男たちの話。純文学短編7話+長編1話
目次
- 奇腹譚 肥った男と一緒に泊まったはずの若者が消えた。
螢 海の少年の灼けた肌が暗闇の中からいざなう。
晩夏 抱いてやれなかった学生の怨みが恐怖を呼んだのか。
陽炎 老教授の「初めてで最後の恋」が実った証とは。
冬野 そのとき恋人といた男は既に死の床にあるはずだった。
逝春 藤蔓にからめ取られるような若者との秘事の果て。
淫月 天才画家がモデルの男たちの肌を通して知る苦しみ。
飛魂抄 尊敬する作家との愉しくも苦渋に満ちた一夜。