「近代小説」と「お笑い」、
この二つは、実はまったく同じなのでした。
以下、論証します――
日本の近代文学は、明治維新後、文体(言文一致体)の改良と、新聞などメディアの普及とともに発展しました。そして、その完成者は夏目漱石でした。絢爛たる物語をめざした谷崎潤一郎などの出現もありましたが、基本は自然主義から私小説へ、という流れでした。これを戦後日本のお笑い文化と比較対照しながら、世界にも稀な文化を築いた日本人の特質まで考察したのが本書です。欽ちゃんは坪内逍遥、志村けんは二葉亭四迷、たけしは尾崎紅葉、さんまは露伴…。驚きと納得の全15章!
目次
- はじめに
〈文豪と芸人〉相関図
序章 近代小説とお笑い
~共通言語の生成を目指した文化
第一章 萩本欽一は坪内逍遥である!
明治維新と戦後 ~新しいメディアへの挑戦
第二章 志村けんは二葉亭四迷である!
真の革命家 ~東村山音頭と『浮雲』
第三章 横山やすしは国木田独歩である!
求道者という存在 ~それぞれの至上のもの
第四章 ビートたけしは尾崎紅葉である!
カリスマの理由 ~たけし軍団と硯友社
第五章 明石家さんまは幸田露伴である!
変わらないこと ~生来の芸人と伝統文化の可能性
第六章 タモリは泉鏡花である!
異色の天才 ~突然変異的才能の登場
第七章 島田紳介は森鴎外である!
計り知れない教養 ~『ワルガキ漫才』と『舞姫』
第八章 とんねるずは島崎藤村である!
革命 ~新世界の扉を開いたカリスマ
第九章 松本人志は夏目漱石である!
完成者 ~テレビコントと近代小説
第十章 ダチョウ倶楽部は田山花袋である!
恥じらいの欠如 ~自然主義文学とリアクション芸
第十一章 太田光は谷崎潤一郎である!
本格派の存在価値 ~耽美派と社会派
第十二章 木村祐一は志賀直哉である!
一つの到達点 ~すべらない話と私小説
第十三章 千原ジュニアは芥川龍之介である!
自ら選んだ道 ~現実と虚構から学ぶもの
第十四章 ケンドーコバヤシは太宰治である!
自己演出の果て ~近代小説の終焉とお笑いの末来
主要参考文献
あとがき
著者紹介