百日草、蛍、
運命の輪、花喰い鳥……
嘉風堂の扇子の柄は、あなたの本心を表します。
北鎌倉の小さな神社から始まる、人の想いにまつわる5つの物語
不思議な青年2人が切り盛りする、
北鎌倉の小さな神社。
そこでもらえるオーダーメイドの扇子は
「持ち主の望みを叶えてくれる」らしく……
その噂を聞いた人々が、今日もこっそり訪れる。
北鎌倉が舞台のほっこりふしぎな和物語。北鎌倉の細い裏路地。そこにあるのは小さな神社。神社を隠すように覆いかぶさる竹林が、さらさらと風の音を立てる。この神社は「嘉風神社」。小銭を賽銭箱に放り込み、参拝客が向かうのは、竹に飲み込まれてしまいそうな小さな社務所である。その社務所の入口にかかっている看板には、「嘉風堂」と店名がしたためられている。この嘉風堂では神様の声が聞こえるという不思議な青年が「神様に持ち主の願いを届ける扇子」を作っており、その扇子の柄に込められた意味が、持ち主にいちばん大切なことなのだという。目立たないながら密かに評判を呼び、悩める参拝客がやってくる。