反 歩
農村でよく使われる田畑や山林の取引単位で、300坪とほぼ同じ面積。そ の10倍の約3000坪を1町歩、10分の1の約30坪を1畝という。
 
 井戸工事
手掘りとボーリングの2種類があり、現在では後者が主流となってい る。手掘りは素人でもできるが採掘場所の選び方が難しい。井戸水が出たら地上まで ポンプで汲み上げる。
 
 仮登記
本登記の要件が整わないときに、将来の第三者対抗力をその時点で確保す るための手続き。農地の所有権移転は時間がかかり、その間に転売や抵当権設定を防 ぐために行われる。仮登記の間は農地を利用するうえでは何ら支障はない。
 
 既存宅地
市街化調整区域では原則として住宅は建築できないが、都市計画の施行 前に宅地であった土地などについては例外と見なされ、建築が可能となる。これを一 般に既存宅地という。
 
 競売物件
競売とは裁判所が間に入って担保・差し押さえの不動産の買い手を一般 から募る制度。通常の物件価格より格段に安く入手できることもあるが、権利関係の 複雑なものが少なくなく、素人には不向き。
 
 建築確認
建築主は工事に着手する前に、その建物が法律・条例に適合しているか どうか、行政に確認してもらわなければならない。その手続きを一般に建築確認とい う。都市計画区域内では必ず必要だが、都市計画区域外では不要な場合が少なくな い。
 
 建築条件付き売地
建築発注を条件に売り出される土地のこと。貸地でも同じ物件 タイプがある。都会では通常3カ月以内に発注しなければならないが、田舎物件では 1〜5年以内の期間を定めたものが多い。行政の宅地分譲地もたいてい建築条件が付 く。
 
 建ぺい率・容積率
建ぺい率とは敷地面積に対する建築面積の割合のこと。仮に敷 地百坪で建ぺい率が20%なら、1階部分の建坪は20坪以内に抑えなければならない。 容積率とは敷地面積に対する建物の延べ床面積を指す。仮に敷地百坪で容積率が40% なら、床面積の合計が40坪を超えてはならない。田舎の土地は都市計画区域外が多 く、建ぺい率70%、容積率400%と定められている
 
 高気密住宅
北海道などの寒冷地で流行している住宅工法。家全体をすっぽり断熱 材で覆うため、冬でも寒さはまったく気にならない。ただし換気のシステムが不充分 だと、人身事故につながる恐れがある。
 
 古民家のリセットハウス
移築は古民家を解体して、ほかの場所に同じ建物を再現 すること。それに対して、リセットハウスは新築する際に古民家の部材を構造体の一 部などに取り入れる方法で、現代風の建物でも内装に重厚感が出る。
 
 採草放牧地
農地法の対象となる農地は、地目が「田」「畑」となっているもののほか に、「採草放牧地」も含まれる。これは畜産等で採草や放牧に使われている土地なら、 たとえ地目が山林などでも農地法を適用しますよ、ということを意味している。
 
 沢水利用
沢水を飲用水などに利用すること。沢から直接取水することもあるが、 沢沿いに井戸を掘るケースが多い。沢に接した土地、裏山に沢の水源がある場合にこ の方法が使える。
 
 地元相場
農村において、地元の人同士が土地取引をする際に基準とする相場のこ と。都会人にはその実態がわかりにくく、地元の人以外に運用されることは少ない。 自分の足で土地を探す場合は、それに近い価格で農家から譲ってもらえる可能性はあ る。
 
 借地権と地上権
借地権は債権、地上権は物権に属する。どちらも所有権がないと いう点では似ているが、権利を転売する際に前者は所有者の同意が必要、後者は自由 に転売できる。物件は借地権付き売家、地上権売買という形で出てくる。
 
 浄化槽
下水道が完備していない地域でトイレを水洗にする場合、この装置が必要 になる。単独浄化槽は、し尿のみを処理するもので、浄化能力はさほど高くない。合 併浄化槽は同時に処理するもので、その装置に対して補助金を交付する自治体が多く なってきている。
 
 接道義務
建築基準法でいう「道路」とは幅員が4m以上のものを指す。さらに行政 が設定した道路に限られている。都市計画区域内では以上の要件を満たした道路に2 m以上接した土地でなければ、原則として家を建築することはできない。ただし都市 計画区域外では必ずしも接道義務はない。
 
 抵当権
当事者間の契約で設定される担保物件の一種で、登記簿に記載される。簡 単に言うと、その不動産が借金のかたになっていること。田舎不動産は借金の清算を 目的に手放す人も多いので、抵当権が付いているものが少なくない。できれば事前に 少なくとも所有権移転の手続きと同時に抹消してもらうことが大切だ。
 
 縄延び
登記簿に記載されている面積より実際の面積が多いこと。国土調査が終 わっていない地域では、こういう田舎物件が珍しくない。なかには2倍以上の面積の 開きがある物件も存在する。昔は税金を安くするため、面積を過小申告するケースが 多かったからだ。物件に縄延びがあったら、まずは公簿面積と境界確認で判断するこ と。正確に測量してから渡せと言っても、田舎では拒否されるケースがほとんどであ る。縄延びがある物件は面積が広大になりやすく、物件価格より測量費用のほうが高 くなりかねないからだ。
 
 付属建物
母屋以外に物件に付いている建物を指す。離れ、蔵、倉庫などがある。 利用するうえで重要なので、業者に状態を確認しておきたい。
 
 法定手数料
業者から物件を仲介(媒介)してもらった場合、以下の法定手数料を 支払う必要がある。200万円以下の物件は物件価格の5%、200万超〜400万円以下の物 件は物件価格の4%+2万円、400万円超は物件価格の3%+6万円。
 
*「田舎暮らしの本」00年1月号より引用