歴博の研究グループの「炭素14年代測定法」による
「箸墓古墳は卑弥呼の墓説」は、捏造に等しい!
箸墓の出土物が放射性炭素年代測定で卑弥呼の生きた時代と一致したとの発表で、邪馬台国畿内説がいっきに盛り上がってきました。しかし、そもそもこの発表の真偽のほどが疑わしく、さらに考古学的な事実や文献学的な史実からかけ離れた邪馬台国畿内説には、まったく根拠がないのです。著者は邪馬台国北九州説の立場から、「邪馬台国畿内説、箸墓=卑弥呼の陵墓説」を、舌鋒鋭く粉砕します。
目次
- プロローグ 誤りと偽りの「箸墓古墳=卑弥呼の墓説」
第一部 卑弥呼は箸墓古墳には眠っていない!
【第一部のはじめに】 「歴博の炭素14年代測定論は間違いである」ことを裏付ける四つの報告書・論考
1 奥山誠義氏報告書 「歴博仮説」成立の確率(可能性)は五~一%以下である
衝撃の奥山報告書/「古木効果」をどう考えるべきか/奥山報告書が示す年代測定値
…ほか
2 報告書『箸墓古墳周辺の調査』 箸墓古墳の出土試料は四世紀を中心とする年代を示す
報告書『箸墓古墳周辺の調査』の意義/平均値の算出、桃核試料、土器の編年/炭素14年代測定法の原理
…ほか
3 西田茂氏報告書 土器付着炭化物の測定値は、年代が古く出る
西田茂氏の新知見/一個のクルミで測定年代の最大幅は四百年!/土器付着炭化物の問題点
…ほか
4 新井宏氏の論文 歴博データが、「歴博仮説」を裏切っている
新井宏氏の論考の重要性/歴博説批判の主なポイント/二七〇年陥没期の問題点
…ほか
第二部 箸墓の築造は四世紀半ばである
【第二部のはじめに】 箸墓古墳は四世紀半ばの倭迹迹日百襲姫の墓である
1 出土土器 ホケノ山古墳から布留1式期の指標、小形丸底土器が出土している
土器は証言する/石野博信氏の見解/お祭り騒ぎの虚しさ
…ほか
2 出土鏡 ホケノ山古墳からは中国南方、呉系の鏡が出土している
「邪馬台国=畿内説」のアキレス腱/画文帯神獣鏡は卑弥呼が魏からもらった鏡ではない/画文帯神獣鏡のデザイン
…ほか
3 『古事記』『日本書紀』 箸墓は『日本書紀』の伝承どおり 第十代崇神天皇の時代に築造された
文献からみた箸墓の築造年代/岩石学的事実も伝承を支持する/倭迹迹日百襲姫の事績などは卑弥呼と合わない
…ほか
4 『魏志倭人伝』 ホケノ山古墳・箸墓は『魏志倭人伝』の記述「棺あって槨なし」などに合わない
『魏志倭人伝』に立ち返れ!/中国の「槨」は棺の外箱である/『魏志倭人伝』の方向記事の読み方
第三部 「邪馬台国=北九州説」の検証
【第三部のはじめに】 諸情報を総合的に判断すると「邪馬台国=北九州説」が圧倒的に有利
1 私の邪馬台国論 北九州の勢力が大和に東遷した!
歴史は総合の学であることを忘れてはならない/白鳥庫吉、和辻哲郎の「邪馬台国東遷説」/井上光貞、森浩一両氏の「邪馬台国東遷説」
2 私の卑弥呼論 「卑弥呼=天照大御神説」
年代論から導かれた仮説/北九州と大和の共通地名の不思議/文献学上も考古学上も北九州説がはるかに有利
エピローグ これは第二の「旧石器捏造事件」だ!
安本美典ブックガイド