終戦直後を超える非常事態!
受給者が205万人を突破
働かないのか?
働けないのか?
悲鳴を上げる自立・就職支援の現場に密着
受給者の実態から貧困ビジネスの闇まで
制度の矛盾を浮き彫りにする出色のドキュメンタリー
終戦直後の混乱期を超え、生活保護受給者の数が205万人を突破した。国の税収からは年3兆3000億円が支出され、税収に占める割合は12分の1に。各世帯が毎年、6万3000円を負担している計算になる。リーマンショック後、その数を押し上げているのが生活保護に大量に流れ込んだ働ける世代の受給者たちだ。彼らは「働かない」のか?「働けない」のか?本書は、2011年9月16日に放送され、反響を呼んだNHKスペシャルの書籍化。18人に1人が受給者という大阪市を主な舞台として、悲鳴を上げる自立・就職支援の現場に密着した。若い世代の受給者の日常から、受給者を食い物にする貧困ビジネス、闇社会の広がりまで、番組では取り上げられなかった取材成果も折り込みながら、いまのままでは崩壊しかねない制度の矛盾を浮き彫りにする。税と社会保障の一体改革が話題になるなか、一人でも多くの国民に読んでいただきたい1冊。
- 改訂し、文庫化して、2013年06月22日に宝島SUGOI文庫『NHKスペシャル 生活保護3兆円の衝撃』を発売しました。
目次
- まえがき
第一章 働ける世代の生活保護受給
毎月一日、市役所の窓口に押し寄せる人々
働ける世代の受給者の暮らし
二度目の生活保護受給
心が折れた二五歳の若者
再就職先
…ほか
第二章 なぜ生活保護は急増したか?
見えないホームレス
立ったまま寝る人たち
かつては厳しかった働ける失職者への対応
転機となった厚生労働省の通知
働ける世代の受給者の数は?
第三章 貧困ビジネス業者
生活保護はいらんか
貧困ビジネスの歴史
携帯電話の買い漁り
囲い込みへ
疑惑のNPO法人を追う
…ほか
第四章 大阪市vs貧困ビジネス業者
不正受給対策チームの誕生
証拠がつかめない不正受給
対抗策は「敷金・礼金の引き下げ」
岡山と駆け込み需要
囲い込ませないために
…ほか
第五章 受給者が沈み込む闇社会
「ドーム」と呼ばれる違法賭博場
薬銀座
生活保護を悪用した“病院ビジネス”
薬の転売ネットワーク
病院も関わった医療扶助の詐取
第六章 第二のセーフティーネット
二〇人に一人が受給者となった大阪市で
支援対策や仕事があるのに応募がない!?
第二のセーフティーネットは機能したか?
役に立たない職業訓練制度
「総合支援資金貸付」の深い闇
…ほか
第七章 自立に立ちふさがる壁
大阪市の手厚い就労支援
就労意欲が芽生える瞬間
即戦力を求める会社
就労支援の実績
一世帯当たり年六万三〇〇〇円の負担に
…ほか
第八章 生活保護をどうすればいい?
「ゆりかごから墓場まで」の自立支援
貧困層の三分の一しか受給していない生活保護
生活保護に期限とプログラム強制を
凍結預金口座で自立の原資を
生活保護は貧困の罠
…ほか
あとがきにかえて