「今なお部落は悲惨だ」
の虚構(フィクション)!
部落解放同盟の暴走と
京都・同和行政の迷走を追い
実態とかけ離れた「部落民像」肥大化の
カラクリを浮き彫りにする!
被差別部落の環境や住民の経済状況、教育環境はこの半世紀で大きく改善し、部落差別自体もかなりの面で改善されてきた。しかし、被差別部落に対するイメージは相変わらず「ステレオタイプ」なものが主流を占めている。差別や貧困の物語である。なぜそのようなイメージが払拭されないのか。戦前からの同和行政と解放運動で輝かしい歴史を有する京都市を舞台に、同和行政と解放運動の腐敗に切り込んだ「名著」の大改訂版が新書で登場。戦後の同和問題の裏面を総括する決定版です!
本書は2005年4月に講談社から刊行された『だれも書かなかった「部落」』(講談社+α文庫)を大幅に改訂したものです。詳細は本書「新書版あとがき」を参照ください。
目次
- はしがき ――同和事業と解放運動が生み出したもの
第一章 「部落であること」の強制
Ⅰ 自立――「同和漬け」からの脱出
個人施策がここまで
「施策」からの脱出
「差別を商う行為」
…ほか
Ⅱ 逆行――同和行政の常識と非常識
例をみない京都市の同和行政
ある家賃適正化の取り組み
全解連の決断――神戸
Ⅲ 特権――輝きを取りもどせるか
割り切れない感情
解放運動の輝きは
レッテルを剝がす試み
…ほか
第二章 犯罪・不祥事を生み出すシステム
Ⅰ 採用――運動が「堕落」するとき
なぜこの人物が採用されたのか
「同和雇用者」事件ファイル
不祥事の背景に「選考採用」が
…ほか
Ⅱ 崩壊――ジャンキー公務員
無断欠勤・行方不明、勤務中にパチンコ店でアルバイト
「選考採用」者事件ファイル97/98
幻覚に見舞われて働く
…ほか
Ⅲ 腐敗――京都市役所の「闇」と「病み」
運動団体からみた選考採用
地区住民が要望しているのか
「選考採用」という差別
第三章 「同和」の錬金術
Ⅰ 脱税──潤沢な運動の資金源
解放運動の資金源
申告書を見て愕然
「京企連を通すと半額でいけますよ」
…ほか
Ⅱ 詐取──食いものにされた事業と運動
「毎日、氏神様に祈っていた」
市職員による三億円奪取
「おれが法律だ。よけいな心配はいらん」
…ほか
Ⅲ 饗宴――同和対策室の帳簿
天皇の逝く国で
つかみ金
同和対策の手法
…ほか
…ほか
第四章 「全国最悪」を語る
Ⅰ 本音――96京都市長選にて
風穴
政争の具
団体補助金
…ほか
Ⅱ 信頼――「同和」からの解放・神戸
二つの到達段階
「やっぱり同和か……」
いつまで「部落民」でいるのか
…ほか
Ⅲ 監視――行政と運動の歴史が意味するもの
荒廃する職場
「全体の奉仕者」の放棄
主体性以前の問題
…ほか
第五章 何も解決しない「差別への怯え」
Ⅰ 座礁──奪われた人事権と売買された採用枠
矛盾噴出の二〇〇六年
市長在任中の逮捕者九〇人以上
「エセ同和行為だ」「京都市に任命権はなかった」
…ほか
Ⅱ 強要──便宜供与の片棒を担ぐ行政
二〇〇八年京都市長選挙の驚き
「あり得ない話だ」
「錦林の誰に呼ばれて行くのか」
…ほか
Ⅲ 転換──「差別」の強調は不信と反発を招く
総点検委員会「報告」の衝撃
「どこが部落か」と聞かれたら
他の自治体の対応
…ほか
あとがき
新書版あとがき
※本文中の人名には一部仮名を使用しています。また年齢、肩書き、団体名などは取材当時(第一~四章は一九九四~一九九七年、第五章は二〇〇六~二〇〇九年)のものです。