天才少年と呼ばれた
小学生時代
地獄の三段リーグ
幻と消えた「名人」の夢
そして「舌がん」の宣告――
「オール・イン」とは、カジノで全額を賭ける大勝負のことを指す。本書は「将棋」に青春のすべてを捧げた著者が、自身の体験と、同じ世界に生きた若者たちの青春群像を描いたノンフィクション。プロ棋士を目指す若者たちが人生をかけた戦いを繰り広げる「奨励会」。羽生善治を輩出した名門・八王子将棋クラブで腕を磨き、小学生名人戦で準優勝した著者は、奨励会でも順当に活躍、16歳でプロ目前の三段に昇段する。だが、地獄の三段リーグで「あと一歩」というチャンスを何度も逃すうち、10年の月日が経過。ついにプロ(四段)になれず、26歳で年齢制限により退会を余儀なくされた。失意のままに逃避生活を送っていた著者に、末期がんの宣告というさらなる「試練」が待ち受ける。受け入れがたい運命を前にしたとき、人間はそれをどのように受容するのか。苦難に満ちた青春を振り返る、元奨励会員の「人生の感想戦」。
※本文中の棋士段位は2014年2月現在のものです。