漫画『鬼滅の刃』の世界を、日本史の視点から独自に考察する本です。この作品を歴史学や民俗学の研究対象として読み、秘められたさまざまな「暗号」を掘り起こします。主要キャラクターである「柱」たちの境遇や鬼たちの名前から浮かび上がる歴史的背景とは何か、「聖地」に隠された暗号とは何か、鬼との戦闘に隠された暗号とは? これらを読み解くことで物語の奥深さを実感できます。
『鬼滅の刃』に隠された
歴史のメッセージを読み解く
歴史史料グラビア
人々が恐怖した鬼の姿
はじめに
なぜ日本人は鬼退治の物語に惹かれるのか
第1章 キャラクターに隠された暗号
『鬼滅の刃』はマイノリティを描いた物語だった
キャラクターたちは「生きづらさ」の象徴
竈門炭治郎にみる炭焼き民
我妻善逸・嘴平伊之助にみる捨て子
煉獄杏寿郎にみる元武士
胡蝶しのぶにみる仇討ち
ほか
第2章 ストーリーに隠された暗号
『鬼滅の刃』と世界の神話に共通するストーリー
非業の死を迎える「柱」と神話の英雄
日本神話から『鬼滅の刃』を読み解く
禰豆子は人と鬼をつなぐ巫女だった
禰豆子が竹の口かせをしている理由
鬼殺隊と追放された英雄・スサノオ
継国兄弟とヤマトタケル
なぜ「血」によって人間が鬼になるのか
ほか
第3章 鬼との戦いに隠された暗号
鬼との戦いは疫病との戦いだった
新型コロナウイルスの流行と無限城の戦い
疫病をもたらす鬼
疫病を祓う神・スサノオ
鬼との戦いから日本の医療の歴史がわかる
鬼舞辻無惨は誰なのか
「新皇」を名乗った時代の抵抗者・平将門
無限城は将門の首塚の地下にあった
ほか
第4章 時代に隠された暗号
鬼は時代の境い目に現れる
なぜ鬼殺隊と鬼に女性が多いのか
不死川玄弥にみる大正時代の火器
珠世・胡蝶しのぶにみる大正時代の女医
童磨にみる大正時代の新宗教
ほか
第5章 紋様に隠された暗号
紋様からわかるキャラクターの特徴
竈門炭治郎の石畳紋
竈門禰豆子の麻の葉紋
我妻善逸の鱗紋
伊黒小芭内の縞紋
ほか
第6章 聖地に隠された暗号
浅草・吉原と鬼門
鬼は鬼門から侵入する
鬼門封じの力が弱まった東京市
竈門神社と竈門兄妹
3つの神社が祀る女神と竈門禰豆子
上賀茂神社と我妻善逸・竈門禰豆子の結婚
ほか
あとがき
現代によみがえった鬼の正体