死刑囚に執行が告知されるのは、当日の朝8時ごろである。
突然、独房の扉が開かれると、その場で死刑執行が告げられ、
荷物の整理をすることも許されず、そのまま刑場に向かい、
遅くとも10時には刑が執行される。
死刑囚にとっては、毎朝、この時間帯が1日の最大のヤマ場である。
聞きなれない足音が聞こえたりすれば、異常な緊張が房内に走り、
じっとその行き先に聞き耳を立てるのである――。
無辜の人の命を奪い、自らの命をもってその罪を償うことが定められた死刑囚たち。
人間は自らの死を前に何を語るのか。
母への思い、贖罪の言葉、神への祈り、死の受容……。
「その瞬間」を意識し、初めて剝き出しになる真実の姿とは。
同名書籍(2019年刊)待望の文庫化!
【目次】
第1章 「死刑」の基礎知識
第2章 旅路
小平義雄/小平事件(1946年)
平沢貞通/帝銀事件(1948年)
竹内景助/三鷹事件(1949年)
菊地 正/栃木雑貨商一家殺害事件(1953年)
正田 昭/バー・メッカ事件(1953年)
李 珍宇/小松川女子高生殺人事件(1958年)
奥西 勝/名張毒ぶどう酒事件(1961年)
小原 保/吉展ちゃん誘拐殺人事件(1963年)
西口 彰/西口彰事件(1963年)
片桐 操/少年ライフル魔事件(1965年)
コラム 拘置所長が「極秘録音」した死刑執行前「53時間」ドキュメント
第3章 彼岸
植松 聖/相模原障害者施設殺傷事件(2016年)
造田 博/池袋通り魔殺人事件(1999年)
古谷惣吉/連続8人殺人事件(1965年)
袴田 巌/袴田事件(1966年)
永山則夫/永山事件(1968年)
大久保 清/大久保清事件(1971年)
坂口 弘/連合赤軍事件(1971〜72年)
大浜松三/ピアノ騒音殺人事件(1974年)
片岡利明/連続企業爆破事件(1971〜74年)
大森勝久/北海道庁爆破事件(1976年)
宮崎知子/長野・富山連続誘拐殺人事件(1980年)
木村修治/女子大生誘拐殺人事件(1980年)
コラム 「オウム真理教」死刑囚13人の最後
第4章 贖罪
小川和弘/大阪個室ビデオ店放火事件(2008年)
勝田清孝/勝田事件(1972〜83年)
朝倉幸治郎/練馬一家5人殺害事件(1983年)
広田雅晴/元警官連続殺害事件(1984年)
澤地和夫/山中湖連続殺人事件(1984年)
田本竜也/大学生誘拐殺人事件(1987年)
宮崎 勤/連続幼女誘拐殺人事件(1988〜89年)
関 光彦/市川一家4人殺害事件(1992年)
久間三千年/飯塚事件(1992年)
関根 元/埼玉愛犬家連続殺人事件(1993年)
林 眞須美/和歌山毒物カレー事件(1998年)
コラム 文献に残された「死刑囚の最後」
第5章 真実
山田浩二/寝屋川中一男女殺害事件(2015年)
八木 茂/本庄保険金殺人事件(1995〜99年)
福田孝行/光市母子殺害事件(1999年)
宅間 守/附属池田小事件(2001年)
小田島鐵男/マブチモーター社長宅放火殺害事件(2002年)
小林 薫/奈良女児殺害事件(2004年)
山地悠紀夫/大阪姉妹強盗殺人事件(2005年)
神田 司/名古屋闇サイト殺人事件(2007年)
金川真大/土浦連続殺傷事件(2008年)
加藤智大/秋葉原無差別殺傷事件(2008年)
木嶋佳苗/首都圏連続不審死事件(2008〜09年)
確定死刑囚リスト