“嫉妬しない人生”は
果たして幸せなのか。
嫉妬するのは、がんばっている人や、
まだ諦めていない人。
でもね、それが幸せなんです。
――香山リカ
「嫉妬」という感情は一般的に悪いものだと考えられていますが、本当に否定されるべきものなのでしょうか。人間は誰かに嫉妬するからこそ、努力したり、がんばろうと思ったり、前を向いて生きようとするのではないでしょうか。「人は人、自分は自分」と割り切る若者の増加、怒りを抑えることを良しとする社会の風潮が強まっている昨今、宗教学者・島田裕巳と精神科医の香山リカがそれに一石を投じます。嫉妬という大きなエネルギーと向き合い、そしてそれとうまくつき合うことで得られる、新しいカタチの「幸福論」。
第四章「文学と嫉妬」の一部は、2010年5月14日発行の『週刊読書人』に掲載された島田裕巳・香山リカ両氏の対談記事を部分的に抜粋・改編したものです。
目次
- はじめに 嫉妬は、人間を動かすエネルギーになる
第一章 私たちの嫉妬体験
嫉妬とは何か
メディアに出なかった精神分析医・きたやまおさむ
関係性のはっきりしない場所には行けない
…ほか
第二章 男女間の嫉妬
「セックス=結婚」の時代
セックスは出産が前提
バーチャルな恋愛とリアルなセックス、結婚
…ほか
第三章 兄弟間の嫉妬
最初の感情は独占欲
人間の最古の殺人は「兄弟殺し」
兄弟姉妹が究極の愛
…ほか
第四章 文学と嫉妬
夏目漱石は読者の求めるものを知っていた
謎が謎を呼ぶ作り方
物語の終わりは「普通でハッピー」がいい
…ほか
第五章 社会と嫉妬
官僚だって嫉妬する
所有欲と神の視点
一生を表すもの
…ほか
第六章 私たちは嫉妬とどうつき合うべきか
「経済成長しないと国が滅びる」は本当?
「経済大国ニッポン」への心理的依存
経済学者とエコノミストによる「洗脳」
…ほか
おわりに 嫉妬という豊かで奇妙な感情