世界に誇る傑作『ゴジラ』を生んだ巨匠・本多猪四郎。
彼の死後、開けられることのなかった遺品のトランク。
そこには未発表の脚本や手紙など住事をしのぶものが
つまっていた――。
本多きみは東宝に就職してその人生を大きく変えていく。会社と寮があるのは東京・成城。寮である武蔵荘には若き黒澤明・本多猪四郎・本木荘二郎らがいた。きみは猪四郎と出会い、結婚する。夫は3度、徴兵。戦争から戻った猪四郎の映画監督となる決意と覚悟を友人たちがサポートし、あの『ゴジラ』が生まれる。黒澤が自殺未遂を図る。一方、猪四郎は東宝を去る。その後、猪四郎はひょんなことから、演出補として黒澤を支え、『影武者』他、5作品が生まれる。5作品目『まあだだよ』完成後、急逝した猪四郎。茫然自失のきみを支えたのは黒澤だった。
目次
- 第一章 映画、そしてイノさんとの出会い
第二章 映画を撮れるという思いだけで戦争から帰ってきた
第三章 ゴジラ誕生
第四章 イノさんとクロさん
あとがきにかえて 八千草 薫さんとのおしゃべり
※本文では可読性を高めるため、本多きみの名前は「キミ」とカタカナで表記してあります。