お茶ひき女郎も
売れっ妓(こ)にしてみせます
借金まみれの置屋「夕霞」の下働き・登世は、
女郎を化粧で美しく魅せることを試みる。
その化粧の腕で店を立て直すことができるのか……
「金の切れ目が縁の切れ目」とばかり、武家の若妻・登世は理不尽にも離縁されてしまった。途方に暮れる登世は、神楽坂の岡場所の娼家・夕霞楼の下働きとして雇われる。境遇の変わりようを嘆く登世だったが、より哀しい立場の女郎衆を目の当たりにし、登世の感性が磨いた化粧の技で、彼女たちの力になりたいと思う。登世は傾きかけた娼家を再生するために、新たな一歩を踏み出すのだった。
※この作品は史実を織り込んでいますが、あくまでフィクションです。もし同一の名称があった場合も、実在する人物、団体等とは一切関係ありません。
<初出>第一話「夕霞の女」:『大江戸「町」物語 風』(2014年3月)、第二話「珠簪の夢」:『大江戸「町」物語 月』(2014年6月)以上宝島社文庫刊。第三話「うまい話」/第四話「女誑し」は書き下ろしです。