これは花子による
花子の為の花物語
運命の出会いから生まれた、
夢と現実が交差する不思議な日々。
スマホ越しの恋と
“優しい噓”が、
閉じこもっていた世界を変える。
「哲学の道」「貴船神社」
――京都を舞台に描かれる、
美しい恋物語。
装画 中村佑介氏より
「ノスタルジーを越えてゆけ。
スマホ世代の京文学」
京都に住む花子は、高校時代の人間関係の
トラウマをきっかけに家から出られなくなり、
引きこもっていた。
唯一の外との繋がりは「カコ」名義で
プレイするゲームアプリ「flower story」。
そこで偶然出会ったレンというプレイヤーと
毎日メッセージのやりとりをするうちに、
花子は彼に惹かれていく。
――レンの誕生日。
花子がレンに贈ったものは、心を込めて
綴ったメッセージ。その返信は
「突然なんだけど、会いたいです。京都へ
会いに行っていいかな?」という言葉。
過去の傷から人と会うことに怯える花子は、
緊張のあまり気を失ってしまう。
……目を醒ましたのは、約束の日の夜。
慌ててスマホを見るとレンから
「今日はありがとう。
“花子”って呼んでいい?」という
メッセージが届いていた。
知られるはずのない本当の名前。
いつのまにか増えていく“会っていない”
レンとの思い出。
スマホから生まれた恋と、
“自分”が吐いた優しい嘘。
「大階段の鐘の下」「哲学の道」
「貴船神社」、京都を舞台に描かれる、
美しく謎めいた恋模様の行方は―――。
※この物語はフィクションです。作中に同一の名称があった場合でも、実在する人物、団体等とは一切関係ありません。
目次
- プロローグ
第一話 4.7inch の世界で恋をする
第二話 真夜中
第三話 花物語
第四話 生命線
第五話 水占い
第六話 クラゲ
第七話 告白
第八話 これは花子による花子の為の花物語
最終話 花の雨
エピローグ