宝島社 2025年 第23回
『このミステリーがすごい!』大賞
謎の香りはパン屋から
土屋うさぎつちや うさぎ
謎はクロワッサンのように折り重なり、カレーパンのように刺激的!パン屋さんでの〈日常の謎〉を解く“美味しい”ミステリー
大阪府豊中市にあるパン屋〈ノスティモ〉(ギリシャ語で「美味しい」という意味)でアルバイトをしている大学一年生の市倉小春。
そこに持ちこまれる数々の謎を解決する小春の推理と活躍! 焼きたてのパンの香り漂う〈日常の謎〉連作ミステリー!
発売日:2025年1月10日(金)
全国書店にて発売
定価:1,650円(税込) ISBN:978-4-299-06264-2
謎の香りはパン屋から
〜 MOVIE 〜
ブックガイド『このミステリーがすごい!』から生まれた
ミステリー&エンターテインメントの公募新人賞です。
『このミステリーがすごい!2025年版』の
表紙は赤坂アカ×横槍メンゴ 『【推しの子】』 です
更新情報
- 新しい応援メッセージを掲載いたしました!
- 2025年第23回『このミステリーがすごい!』大賞・大賞受賞作『謎の香りはパン屋から』特設サイトを公開しました。
あらすじ
大学一年生の市倉小春は漫画家を目指しつつ、
大阪府豊中市にあるパン屋〈ノスティモ〉でアルバイトをしていた。
そこに持ちこまれる数々の謎を小春が解決していく、
焼きたてのパンの香り漂う〈日常の謎〉連作ミステリー!
第1章
焦げたクロワッサン
同じパン屋で働いている親友の由貴子に、一緒に行くはずだったライブビューイングをドタキャンされてしまう。
誘ってきたのは彼女のほうなのにどうして? 疑問に思った小春は、彼女の行動を振り返り、意外な真相に辿りついて……。
パンイラスト/
土屋うさぎ
第2章
夢見るフランスパン
パティスリーからヘルプでブーランジェリーに入った先輩・紗都美。
優秀ながらもフランスパンに切れ込みを入れる作業だけできなくなってしまった彼女を不思議に思い、小春はとある推理をする――。
第3章
恋するシナモンロール
ヒョウ柄のおばちゃんと激しいバトルを繰り広げてまでシナモンロールを買った女子高生は、野球部の男子高生とカフェスペースで談笑している。
小春が微笑ましくその様子を眺めていると……。
第4章
さよならチョココロネ
チョココロネの販売中止が決まったとき、のどかな豊中市に突如現れたひったくり犯。
ひったくりに遭った被害者親子が〈ノスティモ〉の常連だったことから、小春は犯人の推理を始めて――。
第5章
思い出のカレーパン
〈ノスティモ〉にやってきた一人の老婦人。三十年前に食べていたという思い出のカレーパンを探しているという。
先輩とともに、豊中市中のパン屋を巡る小春は、意外な真相に辿り着く!
最終選考委員コメント
著者は漫画家と
小説家の二刀流
著者ごあいさつ
土屋うさぎつちや うさぎ
このたびは栄誉ある『このミス』大賞にお選びいただき、本当にありがとうございます。
昔から小説は好きでしたが、漫画家としてデビューし、小説に打ち込むタイミングはもうないと決めつけていました。
しかし打ち込む時間は作るもの。人生でやりたいことは全部やろう、と『このミス』大賞に挑戦しました。
書き上げることができたのは、パン屋でのバイト経験、大阪での生活、漫画家としての活動、今までの出会い全てのおかげです。
大賞の名に恥じぬよう、これからも全力で作品を書いていきたいと思います。
プロフィール
- 1998年8月、大阪府箕面市生まれ、東京都府中市育ち。大阪大学工学部応用理工学科中退。現在は漫画アシスタント兼漫画家。
- 2023年、『あぁ、我らのガールズバー』で集英社・第98回赤塚賞準入選。同年、『見つけて君の好きな人』で小学館・「創作百合」漫画賞佳作。
- 2024年、『文系のきみ、理系のあなた』で一迅社・第30回百合姫コミック大賞翡翠賞受賞。
『このミステリーがすごい!』大賞
編集部より
「焦げたクロワッサン」「夢見るフランスパン」「恋するシナモンロール」「さよならチョココロネ」「思い出のカレーパン」……
章タイトルも魅力的な今年の大賞受賞作は、パン屋を舞台にした〈日常の謎〉ミステリー。明るさと優しさに包まれた、読み心地のよい作品です。
パンへの情熱をいつも暑苦しく語る店長や、お調子者だけど人情に厚い先輩など、賑やかなパン屋〈ノスティモ〉(ギリシャ語で「美味しい」という意味!)の面々に囲まれて、アルバイト店員・市倉小春は、漫画家を目指すゆえの鋭い観察眼で謎を解いていく――。
唯一の難点は、読んでいてとにかくお腹が空いてしまうこと。美味しいパンを頬張りながら、一気読みするのがおススメです。
〈ノスティモ〉を舞台にパン好きの人々が織りなす物語をぜひお楽しみください。
\『謎パン』への応援メッセージ続々到着/オナカは減るがココロは
満たされる
“美味しい”ミステリー
パン屋さんを舞台に、日常に溶けた謎を、驚きの視点から解き明かす!相手の気持ちに、優しく寄り添う謎解きに、朗らかな空気感に包まれました。
そして、美味しいパンと心ほぐれる人間模様に、柔らかな笑顔が溢れます!ページを開けば、みなさんの楽しいおしゃべりが聞こえてきそうです。心が軽やかにはずむような、ハートフル・ミステリー!
読後、思わず食べたくなる、ふわふわなパンのように、全身に美味しい幸せが広がりました。
紀伊國屋書店福岡本店/宗岡敦子
なんて幸せなミステリーなのでしょうか。読み始めた時から読み終わった後まで、ずっとワクワクする気持ちが続いています。
漫画家さんならではの描写力が細やかで、人間模様は分かりやすいし、パンは憎らしいほどに美味しそう。パンを脳内に思い浮かべて唾を飲み込んでいました。
伏線のちりばめられ方にドキッとする要素もあるしどの章も飽きがこないので(まさにパンのよう)、一気に読み終えました。ただし腹減りご注意です、いや本当に。
宮脇書店本店/藤村結香
パン屋さんをとりまく人々の笑顔が浮かんできて忘れられない。
おいしそうな香りとともに日常に潜むミステリーが絡み合って、あっと驚く真実に突き当たる。
そんなことができるのか。パンとミステリーがこんなつながり方をするとは。想像したこともなかった。
出てくるどのパンも魅力的で、登場するキャラクターにも惹きつけられる。夢を持ってあきらめない人々の姿にも勇気をもらった。
ジュンク堂書店滋賀草津店/山中真理
まさに温かくやわらかに焼き上げたような、やさしさを噛み締める喜びが詰まった味わい豊かな連作ミステリー。
『このミス』大賞・大賞受賞作で、スリリングでもショッキングでもなく、春の陽を浴びるかのごとく思わず頬が緩んでしまう、こんなにも幸せな謎解きに出会えるとは。
悩みや問題を抱えた愛すべき登場人物たちの日常に、さらなる笑顔と美味しいパンを!一話読み終えるごとに、ページの向こうにエールを送りたくなりました。
ときわ書房本店/宇田川拓也
ほっとする日常の謎ミステリー。癒やされました。
なんと言ってもパンが食べたくなってきます。テンポよく読めて、作品の雰囲気も柔らかくて後味も最高!
どの世代の人にもお勧めできるミステリー作品。とても明るくて元気が出てきました。
そしてミステリー部分も読んでいれば気づけるというようになっていて読者も小春と一緒に推理できる楽しさ。身近な日常の謎だからこその体験かもしれない。すごく好きだ!
宮脇書店ゆめモール下関店/吉井めぐみ
パン屋さんで繰り広げられる日常ミステリ。
ページをめくるたびにパンの芳ばしい香りが漂ってきそうで、究極のハラヘリミステリです。
人のちょっとした言葉や動作から真相へと導き、悩みを抱えている人を助けることができる小春の洞察力が冴えわたっていて、なるほどぉ!とポンと軽快に膝を打ってしまいそうになります。
さらにパン屋さんで働くみんなも個性的で読んでいて楽しいです。ぜひお気に入りのパンとともに。
未来屋書店新浦安店/中村江梨花
去年は『ファラオの密室』でとても濃い作品でしたが、今年は一転してふわっと美味しいミステリーが受賞されましたね!
それぞれのお話が繋がっていて、違和感を覚えていた応募作品のミスの多さや道に迷いやすいという謎も回収されていて、スッキリしました…けれど、ちょっぴり悲しくなりますね。
それぞれの登場人物の成長もしっかり描かれていて、さらにこの先のお話も気になります。最初は「なんだコイツ!」と思っても(レナ先輩とか笑)、ちゃんと良いところがあって、どの登場人物も憎めない良い奴なんですよね。
文教堂本部/青柳将人
テンポよく楽しく読めてすごくおもしろかったです。軽やかで肩が凝らずに読めるコージーミステリー。笑いもあり読後感がさわやか。
真剣なのか天然なのかパンへの造詣と愛情が深すぎる店長が最高だし、自由気ままな先輩や観察眼が鋭い主人公小春ちゃんの人間模様もおもしろい。
謎あり、パンのミニ知識あり、感動あり、さすがの大賞作品だと思いました。
水嶋書房くずはモール店/井上恵
漫画家志望の「私」が気づいた日常の違和感。そこには気になる人たちの素顔の裏に隠された秘密があった。
溢れんばかりの人間味にパンにまつわる蘊蓄も絶妙……。
焼きたての匂いと温かさが伝わる大満足の一冊だ!
ブックジャーナリスト/内田剛
宝島社が、また凄い新人作家を見つけ出した!本作の著者の土屋さんが、現役の漫画家だからこそ、リアルに描けた傑作。
漫画家志望の主人公・市倉小春がアルバイト先のパン屋さん〈ノスティモ〉で出くわす事件を、持ち前の観察眼で解決して行く連作短編ミステリー小説。五篇の物語は優しく時を刻みながら流れて行き、やがてクライマックスの最終章からエピローグへ。
『パンは人生そのものだ』
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私の両眼からは自然と温かな涙がこぼれあふれた。涙を抑えることが出来なかった。果たして貴方は、どうだろうか。本当に素敵な物語をありがとう。原石を掘り起こして下さった宝島社さんにも感謝である。
髙坂書店営業本部/井上哲也
パンとミステリーがこんなに合うなんて。パンの芳ばしい香りとともに、ぐいぐい引き込まれる!人生が味わい深く、小春の解く謎が優しく心に広がる。
美味しいパン屋を舞台に人間模様が描かれて、まさに連続ドラマにぴったりの映像でも観たくなる作品だ。
うさぎや矢板店/山田恵理子
舞台は、街のパン屋さん。もう、それだけで物語に香ばしい匂いがしてきそうです。漫画家志望の小春の鋭い推理が光ります。
日常にある小さな謎を解き明かすと、そこには人の抱える想いが見え隠れ。
見落としてしまいがちなものが、私達の身の回りにもたくさんあるのかもしれません。
そしてパンやケーキに関するウンチクも誰かに話したくなる!とても楽しい読書時間でした。猛烈にパンが食べたくなりました。
未来屋書店大日店/石坂華月
日常の謎をパンと絡めて解いていく連作短編。
その中にミステリーというだけではない、登場人物たちそれぞれの人生も垣間見える。
洞察力がある主人公によって謎の動機となるそれらの悩みが明らかにされ、テーマとなるパンと合わせて新たな教訓が得られるスタイルは、あっさりしているようで巧み。
店長のパンに対する独自の哲学は面白いながらも、その場に居たら本当にめんどくさそうで楽しかったです。身近で誰しも一度は利用したことのあるパン屋だからこそ、本作も多くの人が受け入れやすい物語だと思いました。面白かったです。
未来屋書店日の出店/池戸はづき
突拍子もないことが起きるわけでも、誰かが殺されることもない日常ミステリーは気軽に楽しめます。
塔山郁さんの「薬剤師・毒島花織の名推理」シリーズが好きな私にはとても読みやすい作品でした。
パンの香りがするようなストーリーに小春の鮮やかな謎解き、それぞれのパンの歴史、登場人物たちの夢に向かう姿も応援したくなり楽しく美味しく読みました。
読後感も爽快!特に「思い出のカレーパン」が好きです。発売を楽しみにしています。ひょっとしたら著者ご本人様によるコミカライズもあるのかな?と思ってみたり……
BOOKSえみたすピアゴ植田店/清野里美
焼きたてパンが日常の謎を解くカギになる!?
漫画家志望の大学一年生小春がバイト先のパン屋で出会う〈謎〉。持ち前の観察眼と洞察力と想像力で謎を解きほぐしていく。クロワッサンから、フランスパンから、シナモンロールから、チョココロネから、そしてカレーパンから、小春の推理が点と点で結びつく。
探偵役にもかかわらず小春自身が抱える進路問題がとてもリアルで、ほんわかした「日常の謎解き」をしっかり現実につなぎとめてくれる、このさじ加減も絶妙。
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おいしいミステリが大好物なので読んだ後の満腹感が心地よくて満足満足。読みながらとにかくパンが食べたくなって仕方ない。焼きたてパンってどうしてこんなに人を幸せにするんでしょうね。
その幸せが謎解きとあいまって全方位におすすめしたい焼きたてミステリのできあがり!
精文館書店中島新町店/久田かおり
パン屋さんでアルバイトしている大学1年生の小春。小春にはちょっとした夢があって……。
そんなパン屋さんで働く従業員やお客さん達に起こるちょっとした違和感や事件の謎を小春が解いていくミステリー。各章の謎がスカッと解決して、優しい後味を残してくれる。
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そしてパンの博学と共に、物語をパンが締めくくる。謎の数だけパンがあり、パンの数だけ歴史がある。もう無限に食べていたい、5章じゃ足りない。
そして、ただでさえ優しい物語をさらに彩るような“美味しい”エピローグにさらに幸福大爆発。なんっって優しいミステリー。素敵な物語をありがとうございます。
フタバ図書広報課/水本伸一
読後、すごくハッピーな気分になれるミステリーで、読んでいて気持ちがよかったです!ぜひぜひシリーズ化や映像化して欲しいです。
それにしても、本当にお腹のすく作品ですねー。登場するパン、どれも好きなパンばかりで……。本当、すごく優しい気持ちになれるミステリーで、でも、謎解き(伏線回収)はしっかりとしていて、とても読みやすかったです。
宮脇書店和歌山店/岩瀬竜太
パン屋〈ノスティモ〉に持ち込まれる日常の謎を、大学一年生の市倉小春が解決する連作ミステリー。とても面白く読みました。「さよならチョココロネ」「思い出のカレーパン」が好きです。
レナ先輩の強烈なキャラクターと福尾さんの穏やかさ、店長の職人気質だが優しいところ、紗都美さんの石川弁と登場人物も個性豊か。小春のひらめきとちょっとおせっかいなところが、他人を苦しみから救い出すきっかけにもなり、小春も愛すべきキャラクターです。
パンの香りとミステリー、思いのほかマッチしています。珈琲を飲みながら是非ご堪能ください。
旭屋書店アトレヴィ大塚店/北川恭子
気持ちがふわっと温かくなる優しい謎ときで、読んでいる最中に焼き立てパンの香りがする!と錯覚するような。キャラクターも立っていてとても読みやすい作品でした。
ほんまにパンが食べたくなって、思わずパン屋へ駆け込みました。
紀伊國屋書店梅田本店/辻本彩
漫画家になる夢をもつ小春が、バイト先のパン屋で出会った数々の謎を解き明かす!
漫画家を目指すために磨かれた小春の観察力、洞察力で、解決の糸口が見えたひらめきの瞬間に毎回ワクワクさせられました。主人公の小春をはじめ、パン屋に集う人たちがとても魅力的! そしておいしそうなパンたち。
パンにまつわる豆知識もパン好きにはたまりません。
優しくてあたたかいミステリーに心が満たされます!
丸善名古屋本店/竹腰香里
猛烈にパンが食べたくなります!
本の中から香ばしい匂いがしてくるような、すぐそこに焼きたてのパンがあるような良い感じ。でも、空腹時は危険極まりないですよ。パンとパン屋さんへの愛とリスペクトがホカホカと湯気を立てる物語たち。そんな愛しくて滋味あふれるミステリーを皆で美味しく頂きましょう!
蔦屋書店熊谷店/加藤京子
とても面白かったです。
ちょっとした日常の気付きから、当人の胸にある思いを解放してあげる。お互いの信頼と関係が良く、嫌な人が一人もいなかった。そして美味しそうなパンたち。一番心惹かれたのは、焼きカレーパン! 読者の一位を取るのでは?
未来屋書店入間店/佐々木知香子
始まりから終わりまで、春の木漏れ日の中のような優しく柔らかい光に満ちていて、ずっと心がぽかぽかとしていました。
心が折れそうになるとき、それでも諦めずに前を向く勇気や夢への一歩を踏み出す自信をくれて、「ここからまた頑張ろう」と心が奮い立つ作品でした。誰も不幸にならない、多幸感ある1冊ですね。
紀伊國屋書店札幌本店/関 咲蘭
懐かしい…懐かしい気持ちでいっぱいです。昔パン屋さんで働いていたことがあり、知っていることばかりです。店頭に焼き立てパンを出すときに声出していました!
読んでいてずっと焼き立てパンの香りと音、美味しそうなパンの映像が思い浮かびました。これは読み終わった後、絶対にパンを食べたくなる。ほんわかした内容でしたが個性的な登場人物たち、それを小春がやさしく見守っていた。謎は、誰も傷つかないやさしい結果で安心しました。
未来屋書店武蔵狭山店/柴田路子
タイトルの通りどれも心地よく、まるでパン屋のいい香りに包まれているかのような、心あたたかな五編のストーリー。
ミステリーって、人が死んだり大きな事件が起こらなくてもいいんだなって…笑。
でもひとつひとつはその人にとっては大きな事件で、それを漫画家志望で大学生の小春ちゃんが、パン屋を取り巻く人たちに起こる事件をひとつひとつ推理していく。それがまた心地いい。
自分的には甘いイメージのあるシナモンロール、クロワッサンを抑え、昔ながらのカレーパンの話が好きでした。
蔦屋書店滑川店/宮川謙一
どの謎も日常の何気ない会話から生まれ解決されていく、焼きたてのパンのようにほっこりさせてくれました。そのなかでも1番好きなのは「第三章 恋するシナモンロール」でした。コーヒーのような苦い気持ちとシナモロールのような甘い青春が味わえてとても面白かったです!
各章美味しそうなパンと共に登場人物が増えていき、エピローグで綺麗にまとまる! なんて計算されたお話だろうと思いました。素敵な作品を読ませていただきありがとうございました。
うさぎや宇都宮テクノ店/太田貴美子
目下、クロワッサンブーム。
当然、理由はこの『謎の香りはパン屋から』を読んだからです。
ミステリーとしてはよくある“日常の謎”なんですが、謎解きのきっかけが“パン屋”という極めて限定された状況というのが特徴で、かつ全く破綻する事なく論理的に推理されているのが秀逸でした。私は次の休みもクロワッサンを求めてパン屋を探し歩きます。カレーパンを探し歩いた小春達のように。
紀伊國屋書店仙台店/齊藤一弥
パンの香りが部屋いっぱいに漂っている中での謎解き、最高でした!!
名探偵じゃなくても日々のちょっとした行動から読み取れるものがあるんだと改めて実感!←それが出来るのが名探偵なのかも?笑
パン屋×謎解き、とにかくパンが食べたくなる!
カレーパン、美味しいですよねぇ笑
文真堂書店ビバモール本庄店/山本智子
パン屋×ミステリー、どんな話だろうか、ものすごく堅いパンで殴られたり…?と一瞬物騒な考えをしてしまいました。しかしタイトルや、柔らかい素敵な表紙イラストを見て何か違うぞ…と。
実際に読み始めると、美味しそうなパンの描写や細やかな人間関係、それにホッとする謎解き。こんなにもあたたかいミステリー、私は今までに読んだことがありません。どの話でも誰も傷つかないので、にこにこしながらあっという間に読み終えてしまいました。
すごく大きな起承転結があるわけではないのに、単調にならず、でも楽しく読んでいて続きが気になる作品でした。
もし2巻があれば読みたい!と思いましたし、小春さんの漫画家(?)としてのその後も気になりました。
くまざわ書店調布店/山下真央
著者に訊く
- 大学での専攻は「応用理工学科」とのこと。具体的にはどのようなことを学ばれていたのでしょうか? また、小説や漫画を描く上で役に立っているor役立ちそうなことはありますか?
- 私は応用理工学科の中でもマテリアル生産科目を専攻していて、「マテリアル」の名の通り、材料の機能や特性について学んでいました。
不勉強な学生だったので専門的な知識はほとんど身についていないのですが、そこでなければ出会えなかった友人や経験は、小説や漫画に活かせているのかなと思います。以前『文系のきみ、理系のあなた』という文理をテーマにした読み切りを描きましたが、それも専門的な知識ではなく、自分が理系だったこと自体が発想のきっかけでした。 - 東京都立国立高等高校から大阪大学工学部へと進学されたわけですが、中退されたのはなぜですか?
- 元々「募集人数が一番多くて入りやすそう」という理由で工学部を選んだ私は、コロナで授業が全てオンラインになり、あっけなく必修科目の単位を落としてしまいました。周りとのモチベーションのギャップに気がつき、今後自分が何をやっていきたいのか改めて考えるようになったんです。
その時、昔からの夢だった漫画家が頭をよぎりました。そこからコロナの給付金で液タブを購入し、漫画のアシスタントを始めました。幸いにも赤塚賞を受賞することができ、アシスタントの仕事が途切れることもなく、食いっぱぐれることはないだろうとこの決断に至りました。
小説の舞台になったバイト先のパン屋の社員さんが「いざとなったらうちで働いていいよ」と仰ってくれたことも精神的な支えになっていたかもしれません。 - 漫画家としてデビューされて、さらにミステリー作家としてもデビューされたわけですが、影響を受けた作家・漫画家・作品、好きな作品を教えてください。
- 小説は有川ひろ先生や辻村深月先生が好きでずっと読んでいました。『図書館戦争』シリーズはもちろん、『三匹のおっさん』や『海の底』もバイブルです。『鍵のない夢を見る』や『朝が来る』は常にそばに置いて執筆していました。
そのどれもに共通しているのが、ミステリーとして売り出されていなくても、この先どうなるのかと読者の興味を引き、ページを捲らせる「謎」があることだと思っています。たとえ人が死ななくても、日常の中にはドラマとミステリーがあるのだと知りました。
一方で『屍人荘の殺人』は、私の中にあった本格ミステリーの堅いイメージを取り払ってくれた一冊です。
漫画は、葦原大介先生の『ワールドトリガー』、古舘春一先生の『ハイキュー‼︎』、松井優征先生の『暗殺教室』が好きです。見せゴマで人の心を掴む構成力やパンチラインは、少しでも近づけるように意識しています。加えて、先生方のような作品における共感と憧れの絶妙なバランスも大切にしています。
また『ダンジョン飯』の、キャラクターが他者を説得する時の「それを言われたら心が動くよね」という納得感は感銘を受けました。
『スキップとローファー』の読むたびに泣いてしまう繊細な感情描写にも憧れています。
漫画家でもある著者:
土屋うさぎが描く
〈ノスティモ〉と働く仲間たち
市倉小春
本作の主人公。漫画家を目指している大学1年生。ノスティモでアルバイトとして働く。
福尾さん
ノスティモの社員。スタッフ唯一の関西出身。小柄で童顔だが、頼りになる姉御肌。
堂前店長
ノスティモのオーナー店長。パンをこよなく愛し、職人として国内外での受賞経験も持つ。
紗都美さん
小春と同じ大学の3年生。大人しくも有能な、ノスティモのパティスリー側のアルバイト。
レナ先輩
大学4年生の古参アルバイト。赤髪がトレードマークの自他ともに認めるギャル。
第23回大賞受賞作
謎の香りはパン屋から
土屋うさぎつちや うさぎ
発売日:2025年1月10日(金)
定価:1,650円(税込)
ISBN:978-4-299-06264-2
これまでの大賞受賞作
第21回大賞受賞作
名探偵のままでいて
(宝島社文庫)
小西マサテルこにし まさてる
発売日:2024年4月3日
定価:880円(税込)
ISBN:978-4-299-05298-8
第20回大賞受賞作
特許やぶりの女王
弁理士・大鳳未来
(宝島社文庫)
南原詠なんばら えい
発売日:2023年2月7日
定価:780円(税込)
ISBN:978-4-299-03916-3