少女たちは寝る間も惜しんで
カラダを売り続けた――
迫真のルポ~6年半の記録~
「夜の世界の、底の底。そこで生き抜く少年少女のリアルは、
鈴木大介しか照らしだせない。」
――萩上チキ(評論家)激賞
大手出会い系サイトで「女性からの援助交際のカキコミ」の9割は、『援デリ』と呼ばれる「素人を装った業者」だと言われている。「打ち子」と呼ばれる統括者の男が、出会い系サイトのメールのやり取りで客を取り、実働部隊である女に客を振り分けて売春させるというもので、数年前から都市部を中心に全国区で激増している売春組織である。著者は6年半にわたり、複数の援デリ業者の内部に密着し、丹念に取材してきた。その内情は凄まじく、18歳に満たないホームレスの少女や、施設を脱走した障害者の女の子、組み抜けしたヤクザ、雇い止めをされた元派遣労働者の男らによる経営……。それは少女たちにとって決して「高額バイト」などというものではなく、まさに命がけの戦いだった。暴力団による援デリ狩り、少女を喰う買春男たち、そこで生き抜く少女たちの押しつぶされそうになる不安と、自由……。日本社会の末端をえぐる迫真のルポルタージュ。
目次
- プロローグ
合理化された援交/「泊めてもいいけど、宿代出せよ」/寄る辺なき人々
第一章 勝ち抜けレース
援デリの巣窟/「そりゃ金でっしゃろ」/十七歳の頭領
…ほか
第二章 ヤクザと援デリ
多発する「援デリ狩り」/親指を切り落とされた打ち子/拉致したのは「全身刺青の男」
…ほか
第三章 全寮制援デリ
ヤクザ直営プロジェクト/「好きな子をとっかえひっかえやれますよ」/少女援デリ夏合宿
…ほか
第四章 買春男たちの素性
セックスマイノリティの男たち/歩く買春マニュアル/処女相談サイト
…ほか
第五章 闇のセーフティネット
口淫二千円の女とケツの男/出会いは「客と街娼」/女性障害者と性産業
…ほか
第六章 救いの場所はあるか
福祉への提言/家出少女救済の「理想と現実」/「飛び込み出産」の背後にあるもの
第七章 身籠った少女
風俗で働きながら、産む/八歳にして「三児の母」に/叔母の逮捕と家族離散
…ほか
終章 帰郷
津波被災者の援デリ嬢/復興特需の大いなる誤算/ヤクザVS新興援デリ組織
…ほか
あとがき