戦後日本の死刑史
小平義雄から平沢貞通まで、
戦後の代表的な死刑囚の実像に迫るドキュメント!
先般「裁判員制度」が開始されました。国民が人を裁き、有罪か無罪かだけではなく、死刑を含む量刑を判断せねばなりません。以前から死刑は是か? 非か? といった議論がなされていますが、死刑そのものについて、私たちはどの程度知っているのか? ——断片的であったり、偏った知識であったりというのが現状ではないでしょうか。みずからはもはや語るべき術をもたない死刑囚について、筆者は語ってゆきます。彼らが引き起こした事件と裁判をとおして、いまあらためて死刑とその制度を問う名著、新装版で復活!
目次
- プロローグ
1 戦争——兵役で知った性への異常心理 小平義雄
2 恩赦——戦争の混乱で消えた公判記録 佐々木喬司
3 少年——「死」を恐れないたった十数年の人生 伊藤幸治
4 逆転死刑——“愛人”に裏切られた宿怨殺人の顚末 古屋栄雄
5 弁護放棄——被告に“死刑判決”を下した弁護人 三枝 賢・大西克己
6 一票の差——生死をわけた最高裁長官の“死刑支持” 竹内景助
7 境界線——類似犯罪の判決は片や死刑、片や無期 津田 暎
8 自白——最高検察庁を動揺させた“秘密通信” 羽賀竹男
9 誤殺——兄の身がわりに処刑台に立った弟 古川高志
10 差別——ハンセン病患者への偏見が事件の出発点 藤本松夫
11 獄中訴訟——処刑場をみずから現場検証した訴訟魔 孫 斗八
12 生贄——「世論」も支持する“極悪非道人”の処刑 栗田源蔵
13 死刑志願——騒音問題が引き金となった自殺目的の殺人 大浜松三
14 模範囚——死刑執行の現場を記録した録音テープ 大谷高男
15 脱獄——逃走十一日におよぶ戦後最大の脱獄劇 菊池 正
16 自殺——国家の手になる「死」を拒否した誘拐殺人犯 山川真也
17 発狂——残してきた子を思う精神的葛藤の結末 山本宏子
18 獄中歌人——処刑前夜、安らかに最後の投稿歌 千葉 覚
19 獄中結婚——信仰により出会った“金網越し”の愛 山口清人
20 執行命令——一度に二十三人の刑執行にサインした法相 奥野 清・岩崎治一郎
21 時効——戦後日本の死刑制度を象徴した男の死 平沢貞通
エピローグ
文庫版にあたっての追記 戦後死刑囚六百十六番・六百十七番目の処刑者
あとがき
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