うつ病人口100万人。
2人に1人は再発し、
3人に1人は薬が効かない――
“不適切”な投薬と診断の実態!
医療現場の最前線から最新の成果を伝える。
100万人を超えたうつ病患者。「心のカゼ」と言われ、休養をとって抗うつ薬を飲み続ければ半年から1年で回復するといわれてきた。しかし、アメリカでの最新の研究によれば、4人に1人の患者が治癒までに2年以上を要し、その半数が再発している。治療が長期化している患者の多くが、不必要に多種類、多量の薬を投薬されている。それを見直す取り組みが始まった――。2009年前半に放送され、大きな反響を呼んだ『NHKスペシャル』と『クローズアップ現代』の書籍化。多剤投薬、クリニック乱立、SSRIの副作用、カウンセリングの壁など、番組で取り上げられなかったエピソードも盛り込んで、うつ病治療の新しい道を探るドキュメンタリー。
- 改訂し、文庫化して、2013年06月06日に宝島SUGOI文庫『NHKスペシャル うつ病治療 常識が変わる』を発売しました。
- 改訂して、2012年07月10日に宝島社新書『NHKスペシャル うつ病治療 常識が変わる』を発売しました。
目次
- プロローグ――うつ病はもはや“心のカゼ”ではない
第1章 “不適切”な投薬 症状を悪化させる多剤併用
「減薬療法」で長期のうつを克服
10年続いた寺田さん夫妻の闘い
“見えにくい”抗うつ薬の副作用
…ほか
第2章 クリニック乱立の闇 なぜ診断がバラバラなのか?
主婦が作った「命のマップ」
活動の原点は“薬をめぐる恐怖体験”
5カ所の診断結果がバラバラに
…ほか
第3章 抗うつ薬の死角 封印されてきた危険な副作用
国が認めたSSRIの「攻撃性」
アクチベーション・シンドローム
自殺や攻撃性との因果関係
…ほか
第4章 心理療法の壁 医療に心のケアが定着しない理由
患者同士の力で「うつ」が治癒
気持ちが軽くなっていく
国を挙げて心理療法と取り組むイギリス
…ほか
第5章 うつからの生還 体験者たちが語る回復のプロセス
夫婦でうつを乗り越える──砂田くにえさん
幸せの絶頂期で夫がうつに
相次ぐ転院……そして夫婦の危機
…ほか
第6章 うつ病治療の新しい“常識” 先進医療の現場を訪ねて
「見える化」で正しい診断を──群馬大学医学部
脳血流でうつの症状を測定する
全員参加のうつ病治療──宇治おうばく病院
…ほか
あとがき──うつ病に強い社会をつくるために NHKアナウンサー 髙橋美鈴
参考文献