誰もが「それ」を知っていた――
専門紙元編集長による「真実の告白」
「私がそれを知ったのは、プロレス記者になるはるか以前のことだった――」。知りえたことを「書く」ことではなく、「書かない」ことで評価されるプロレス記者という人生。プロレス最大の本質であるその「演劇性」を認識しながら、そのことを決して書いてはいけないという矛盾に満ちた30年以上の記者人生を赤裸々に回顧する。真実を知りながら「プロレス=八百長」の偏見と闘うという矛盾構造のなかで、プロレスラーと記者はどのように生きてきたのか。「プロレス史」の定義を根本から問い直す、業界初の問題作。
目次
- まえがき
第一章 私が「ケーフェイ」を知ったとき
ミスター高橋本の「是非論」はなぜ終わらないのか
グレート・アントニオに恐怖を覚えた日々
大学生でプロレスファンを「卒業」
…ほか
第二章 プロレス史とは何か―― プロレス八百長論の源流
レスラーの特殊隠語「カーニー」とは?
「結局は八百長の面白さ」
力道山vs木村政彦戦における「プロレスの一番悪い面」
…ほか
第三章 猪木と「世間」の30年戦争
レスラーに「八百長」は最大のタブー
試合前の打ち合わせを知らなかったI編集長
伊勢丹前襲撃事件に「これはおかしいな」
…ほか
第四章 アングルとプロレスメディア
プロレス史最大の黒幕「東京スポーツ」
裏側を知る「共犯者」たちの系譜
すでに80年代から「仕掛人」だった永島勝司記者
…ほか
第五章 UWF戦士たちの彷徨
米国武者修行と真剣勝負志向の関係
重鎮記者たちがUWFを否定した理由
佐山聡『ケーフェイ』でターザン山本氏追放の危機
…ほか
第六章 プロレス記者という人生
降版日に流れたジャイアント馬場「死亡説」
橋本真也死去後の『ファイト』定例会議
初対面の人に自分の職業をレスラーと答えるか
…ほか
あとがき
力道山vs木村政彦戦に見る「八百長報道」