人をこわがらせ、同時に人を愉しませた
内外のすぐれた恐怖小説の系列の中に、
倉橋さんのこの本は、新しくユニークな収穫を加えた――作家 北 杜夫
毒・棘・邪心・嘲笑・揶揄・嫉妬・淫猥・交歓・吸血・生贄……悪夢のような20篇 『大人のための残酷童話』で人生の残酷さや馬鹿馬鹿しさや 滑稽さを辛辣に書いて多くの読者を堪能させた倉橋由美子が、 ほぼ同時期に書いていた怪奇小説集。 知的な恐怖と渇いた笑いの詰まった短編それぞれが、見事な仕掛け、 隙のない文章、堅牢なエスプリ、そして通奏低音としてのエロスに満ち、 読む悦びを満喫させてくれる。 20の夜の愉しみとなる、純文学の香り高い極上エンターテインメント。 |
この作品は、『倉橋由美子の怪奇掌篇』として1985年2月に新潮社から刊行、その後、1988年3月に新潮社から文庫出版されたものです。本書では『大人のための怪奇掌篇』とタイトルを改めました。
もとは旧仮名づかいで書かれた作品ですが、文庫化に際し、新仮名づかいに改められています。
本書でも新仮名づかいを踏襲するとともに、漢字の難読・固有名詞等については、振り仮名をつけ直しました。
(編集部)
- 文庫化して、2008年07月05日に宝島社文庫『大人のための怪奇掌篇』を発売しました。
目次
- ヴァンピールの会
革命
首の飛ぶ女
事故
獣の夢
幽霊屋敷
アポロンの首
発狂
オーグル国渡航記
鬼女の面
聖家族
生還
交換
瓶の中の恋人たち
月の都
カニバリスト夫妻
夕顔
無鬼論
カボチャ奇譚
イフリートの復讐