精神科医の名越康文さんがメガヒット漫画「鬼滅の刃」を超訳!
人気キャラクターの精神分析や名シーンの徹底考察などから、私たちの深層心理や、
傷ついたまま生きていくためのヒントまでも浮き彫りにする一冊です。
●主人公・炭治郎は「過剰適応」?
●「鬼」とは人間の「未熟性」の象徴?
●「生殺与奪の権」を奪われた日本人
●ラスボス・鬼舞辻無惨には「最弱」の自覚がある?
●鬼たちにみられる「躁的防衛」
●柱たちにみられる「解離的防衛」
●胡蝶しのぶは「サイコパス」?
●「目の焦点が合っていない」女性キャラクターたち
●遊郭編・妓夫太郎と堕姫の「甘え」の構造
ほか
【第1章から抜粋】
「生殺与奪の権を他人に握らせるな!!」
という冨岡の言葉は、実は炭治郎だけに向けられたものではありません。
読者、ひいてはすべての人間へと向けられた「メッセージ」だと考えられます。
では、「生殺与奪の権」を他人に握らせてしまうと、何が起きるのか?
実は「鬼滅の刃」の世界には、「生殺与奪の権を他人に握らせてしまった人間」が
どうなってしまうか、ということがあからさまに描かれています。
それは「鬼」です。
【目次】
第1章 「鬼滅の刃」はどうして日本人の心を揺さぶるのか
「生殺与奪の権を他人に握らせるな!!」
鬼とは「生殺与奪の権を奪われた存在」である
「支配されること」に鈍感になってはいけない
戦後教育の終わりとしての「鬼滅の刃」
コラム サイドストーリーこそが重要
第2章 鬼と鬼殺隊
「鬼」は人間の「未熟性」の象徴である
鬼たちが抱える「さびしさ」とは何か
鬼の躁的防衛、柱たちの解離
「家族の構造」によって安定を求めた累
自らの内に伽藍を構築しようとした猗窩座
人はトラウマを抱えたまま生きていく
鬼殺隊の「合理性」と「美意識」
鬼は人間よりも「弱い」
太陽という決定的な弱点
再生しない身体と美意識
個人主義と国家主義
虚無の悟りのなかで生きる童磨
コラム 猗窩座と毒
第3章 「究極の悪役」としての鬼舞辻無惨
悪は幼児性を隠さなければいけない
トラウマを自己正当化しようとしたアナキン
鬼舞辻無惨は幼児性を隠さない
「パワハラ会議」に潜む鬼舞辻の不安
精神分析的な「悪」を乗り越えた悪の可能性
「弱さ」を基盤とした悪の可能性
血の交換とドーピング
「女郎屋の元締め」に姿を変えた鬼舞辻
第4章 「鬼滅の刃」が指し示す理想の世界
「記憶の継承」の重大な役割
物語を動かす「犠牲」としての杏寿郎
「まばたきをしない」杏寿郎の尊さ
死んだ人間のほうが、人を動かす力を持つ
炭治郎という不思議な主人公
「透明な存在」としての炭治郎
「甘え」の構造
炭治郎が示す「透明な理想」
炭治郎の「過剰適応性」
炭治郎の「無意識」の怖さ
炭治郎・伊之助・善逸の「三位一体」
炭治郎の漠とした理想を支える伊之助
善逸が体現する「至高の愛」
コラム 炭治郎の嗅覚
第5章 「鬼滅の刃」を彩る魅力的なキャラクターたち
「焦点の合わない目」に映し出される世界
胡蝶しのぶとサイコパス
柱たちの登場
産屋敷のカリスマ性
産屋敷の「説得」の意味
唯一の「まとも」な人間としての宇随天元
黒死牟の特異な位置づけ
友情の特殊性
鬼舞辻をめぐるトライアングル
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