裁判員裁判の死角!
5人の罪なき若者はいかに戦ったか?
捜査資料、裁判資料、被疑者ノートを元に、
人質司法と冤罪の関係を克明に描く、
法廷ノンフィクションの金字塔!!
08年5月、大阪高裁で未成年を含む5人の冤罪被害者に無罪判決が下りました。04年2月に発生した「大阪地裁所長オヤジ狩り事件」の判決です。この事件では、警察、検察の暴力等を駆使した違法な取調べから自白調書の創作まで、当局のやり口が凝縮されたものとなりました。冤罪の被害者たちは、いかにして無罪を勝ち取ったか? そのカギを握ったのが、「被疑者ノート」の存在です。今、全国の弁護士会では、不透明な警察、検察の取調べから被疑者を守るため、その模様を被疑者が克明に記録する「被疑者ノート」の導入を進めています。裁判員制度が始まったなか、冤罪・再審請求が多発する法曹界。スクープ資料、関係者への徹底取材を踏まえて浮かび上がる冤罪事件の作られ方を白日の下にさらします!
目次
- まえがき
第1章 別件逮捕
大阪地裁所長襲撃事件
別の事件で描かれた犯人の似顔絵
浮上した少年グループ
…ほか
第2章 自白調書の闇
自供書で共犯者の名前が二転三転
犯行メンバーが八人から十二人に膨れ上がる
少年たちの「供述」で共犯者にされた二人の成人男性
…ほか
第3章 被疑者ノート
自白強要の信じがたい手口
二人の刑事が「人殺し」「人殺し」と連呼し続け……
「お前の結果は見えた。アホ弁護士と心中しろ」
…ほか
第4章 家族の苦悩と戦い
「死んだ方がましや」「ほな、もう死ね!」
自白を迫る刑事の信じられない「洗脳」
ありえない人間関係を前提に「シナリオ」を描いた警察
…ほか
第5章 冤罪法廷
検察のシナリオが法廷でひっくり返った瞬間
携帯メールの存在に気づくまで一年かかった理由
防犯カメラの映像をめぐる鑑定対決
…ほか
第6章 謀略の裁判員制度
八割の国民が反対しているのになぜ?
実は裁判員制度を問題視している最高裁
刑事裁判への絶望と新自由主義……裁判員制度をつくった二つの流れ
…ほか
主な参考文献