宝島社企業広告 今回のテーマは『本の力、活字の力』です。
生徒全員に肥後守(折りたたみナイフ)を持たせている小学校がある、というのがニュースになっていた。考えたらちょっと前まではそれが当たり前だった。子どもたちはそれで鉛筆を削り、机に悪戯彫りをし、誤って自らの指を傷つけたりしながら、刃物とはいかに有用であり、同時にいかに危険なものであるかを身をもって覚えていった。
有用と危険とは常に背中合わせ。考えたら活字もまたそれを分からせてくれる存在だと思う。フィクション、ノンフィクションにかかわらず、ずっと昔から、人は活字=書籍から善悪を知り、それに刺激され、生きるうえでの知恵や想像力を知らず知らず培ってきた。
今や知りたいことは何でも分かる情報社会といわれながら、一方ですべてが除菌処理されたような薄っぺらで味気ない環境になっていないか。
悪いこととされているその裏には極めて人間臭いドラマがある場合がある。いいこととされている裏にほど、腐臭を放つドロドロがあったりする。世の中とは意外と奥深くて飽きの来ないものであること、人生とは簡単に答えを出せるほど(あるいは決着をつけられるほど)単純なものではないことを、さまざまな形で気づかせてくれるのが活字であり書籍の力だと思う。
そういう役割を担っている限り、活字というものが、人にとって面白くないわけがない。ある時は毒のふりをした薬の役割であり、ある時は、薬とされているものの嘘を暴く役割。宝島社の書籍は、どれもそういう魅力を持ったものでありたい。少なくとも、毒にも薬にもならないような半端なものは出さない、そういう宝島社でありたいと思います。